つまり、信じようが信じまいが、西洋で幾千年もの間使われてきた馬具は、おそろしく非能率的なものだったということです。「古代」式馬具とか「喉 = 腹帯」式馬具として知られているもので、およそ10世紀まで、シュメール、カルディア、古代エジプト、ギリシャ、ローマなど、実に世界の西方に住むあらゆる民族に使われていました(図8a)。
やがてそれは廃れて、1200年までには近代式、すなわち「剄帯」式馬具が、ヨーロッパで全面的に採用されたのです。喉=腹帯式は動物の喉を詰まらせるので、牽引力が著しく損なわれました。剄帯式は、馬の発揮する力を二倍にも三倍にもします。さて、ここで興味深いのは、古代民族のうちで能率的な馬具を使っていたのが、中国人だけであったということです。漢代のあらゆる浮き彫りには、いわゆる「腹帯式」、あるいは、近代ヨーロッパで「ポスティリオン」と呼ばれる馬具がみられます。これは前の帯が馬の肩のすぐうえにかかるので、充分に牽引力を発揮します(図8b)。
………近代の剄帯式馬具(図8C)は木か金属で強化して、フエルトで当て物をしなければ、引き綱が変形しがちですから、実質的にはポリティオン式馬具の全部にほぼ等しくなることが、容易にわかります。
有輪式重量犂
鉄を用いた有輪犂で、堅く重い土を深く耕すことができるようになった。
犂棒の先には草きりが取り付けられて、土を垂直に切り取ってゆく。その草切りには垂直に平らな犂先がついていて、これは草の根元から土を水平に切る。さらに第三に、撥土板が土の固まりを左右にはねていく。この強力な機械は、農民のエネルギーを相当節約させ、さらに十字に耕耘する二度手間を省いて、細長い地条が畑の形になり、また出来た断面が排水を効果的にした。鉄製有輪犂は、土の退社を促進して、収穫を増加させたのに加えて農村社会の再編成を促して、荘園を形成させた。なぜなら、犂を引かせるための八頭の馬はとても個人では買えず、共同の管理を必須にしたからである。
世界の歴史 10 西ヨーロッパ世界の形成 中央公論社
水車によるフイゴの利用
11世紀になると製鉄に必要なフイゴのエネルギーを人力から水車になった???。野のため製鉄の能率が向上し一日あたり数キログラムから100キログラムが生産できるようになった。
鉄と人間」 原善四郎 新日本新書