宗教都市 坂本(日吉大社と比叡山里坊)
日吉大社:滋賀県大津市坂本五丁目一番一号   電話:077−578−0009
  日吉大社の祭祀は東本宮系の神事と西本宮系の神事との、全く異なった二つの要素から成り立っている。前者は神体山を中心とする、いわゆる東本宮グループの成立を示す「みあれ」の神事(午の神事)と、農耕神的な性格を示す御旅所神事(未の神事)とから構成されているし、後者は「申の神事」と呼ばれる、西本宮の三輪山から比叡の山口へ勧請の過程を示す神事と、舟路のお供を奉ずる「酉の神事」とがその根幹をなしている。以上は古代信仰の古典ともいうべき本より 
神体山  景山春樹 学生社

  日吉大社には美しいコニーデ形の山である八王子山を御神体とする原始神道の様式が色濃く残っている。頂上近くには金巌石といわれる、磐境(いわくら)があり、その左右には牛尾宮と三宮宮がある。山の麓には東本宮と樹下宮がある。特に樹下宮の神殿の背後は御神体である八王子山に向かっていて、神の本体は山であり、樹下宮は拝殿であったことを示している。更にまた、この神社の床下には泉が湧き出ていて、泉を神社の御神体とする古代信仰の考えのかなっている。尚、東本宮は軸線が90度ずれているが、後世東照宮からの軸線に合わせてしまった、ためではないだろうか。本来は樹下宮横にある井戸の上にあり、御神体の八王子山に向かっていたのではなかろうか。なお、西本宮系の神社は大津京遷都にあたって、大和の国三輪山(大神神社)を迎えたものである。

比叡山延暦寺との関係
  伝教大師が比叡山に延暦寺を建立すると、神道も仏教と深い関係を持つようになり、本地垂迹説二より寺院のように扱われた。僧兵は寺院の神輿を朝廷への強訴に使われるようになって一世を風靡した。しかし信長による焼き討ちにより一切が灰燼に帰した。坂本には比叡山の里坊が何十とあり、そこの庭園を楽しむことが出来る。

▲参道

▲東本宮の門と背後の御神体である八王子山

▲樹下宮

▲樹下宮神殿の背後

▲写真の格子から床下の泉を拝せる

▲鳥居から御神体を拝する

▲大宮川に架かる石橋

▲古びた石段

▲灯篭

▲古式な石造物

▲石仏