臼場 夢窓国師大悟の坐禅窟(31才)
茨城県磯原市
夢窓窟は駅の裏側にある。磯原市の教育委員会によると平成5年の調査で73基の横穴式古墳があった。
いずれも材質は凝灰岩で古墳を作るのには適している。

嘉元三年(1305)五月末の或る夜のものである。その時夢窓は、納涼しながら庭前で坐禅をしていた。夜も深くなるまで時を忘れていた。気づいて、庵に入ろうとするが、身体が思うように動かない。壁の無いところに壁があると思って、身を寄せ掛けたところ、ひっくり返ってしまった。夢窓はこの不覚を失笑するが、その時忽然として悟るところがあった。その時の境地を表したのがこの詩である。

多年掘地覓晴天  添得重重礙膺物  一夜暗中蹴碌甎  等閑撃砕虚空骨
(今日まで多年、私は青空をさがし求めて、地に穴を掘っていたのだ。胸には幾重にも、邪魔なものが溜るばかりだった。ある夜、暗がりの中、ふと煉瓦のかけらを抛り上げてみる。するとそれだけで、「虚空の骨」は打ち砕かれてしまったのだ。)

この年の十月に、夢窓は鎌倉の浄智寺に高峯顕日を訪い、問答の後、印可される

▲夢窓窟と名づけられた洞窟

▲上記洞窟付近には類似の洞窟が多くある

▲磯原保育園裏には見事な古墳群がある。

▲海岸には磯と砂浜がある

▲野口雨情宅  彼の美しい詩はこのような風光明媚な場所で育ったためか

▲白鳥庵、内草がいわき市ではないか、の説を教えていただいた丹さん