それは３月８日だった。先達川のほとりに建つ孫六で渓流に面した露天風呂でアマローネ‘９３とグリーンオリーブ、パルミチァンレジャーノ（チーズ）とで「雪見ワイン」と洒落込んでいた。突然ボタ雪が降り出し、見る間にタオルの上にも積もって来た。酒の弱い私も、この時は興奮していたためか何杯もグラスを傾けてしまった。この時は冷えた赤ワインを湯舟に入れ適温になるまで暖めたが、この様なことは後にも先にも経験がない。
　 翌日は先ずは露天風呂へのルート確保からが仕事、もちろん湯舟の中で再度の乾杯である。当日は貸切状態であったが帰り道は宿の長靴を借りて大釜温泉前のバス停まで雪中行軍である。
　　この宿では個人的な思い出があるので、書かしてほしいのですが、私が露天風呂の自費出版するために始めに原稿を書き出したところである。布団に入って寝転びながらあれこれメモをしたところだ。
　　蛇足ながら付け加えると、最近河川の改修工事があり川沿いの露天風呂はやや風情を損ねる結果となった。