アルピルスバッハ修道院(1095年〜13世紀)
  ドイツ西南部にあるベネディクト派修道院の最も美しい現存例である。この古いタイプのロマネスク様式のバシリカは天井が石により円筒状になっているのではなく、水平の梁を並べた単純なものでバシリカ様式の原初形態を感じることができる。
  石による半円筒状の構造であると、その重量を支えるために壁体は厚く、窓は小さくせざるを得ない。ところが、ここのように木による水平梁を採用すれば、窓も比較的大きくとることが出来る。ドイツにはこのような構造のロマネスク様式が多いがなぜであろうか。その例をあげると(当HPに記載したものだけでも)
@ローマ時代のバシリカ(トリアーのバシリカは柱は一本もないが巨大な空間が構成されている)
Aロマネスク様式のバシリカとしては
・ライヒェナウ修道院
・ヒルデスハイムの大聖堂と聖ミヒャエル聖堂
・クエントリンブルクのバシリカ
・ケルンのザンクト・マリア・イム・カピトール聖堂とザンクト・パンタレオン聖堂
・ゲルンローデのザンクト・ツィリアクス聖堂(当HPでは外観のみ記載)

▲アルピルスバッハ修道院

▲前室がある古いタイプ

▲回廊(ゴシック)とバシリカ(ロマネスク)

▲内部構造の特徴としては(祭壇側から撮影)
@木造の水平梁(薄い壁と明るい採光)
A前室二階の四つのアーチによる意匠(写真中央) 西構えの痕跡
B柱は単純な円柱と彫刻がない柱頭(身廊と翼廊の交差部は角柱)

▲窓は比較的大きく、多い(前室側より)

▲内部全景

▲アプシス

▲アプシス手前の天井画

▲円柱礎石

▲左右の円柱一本づつに彫刻がある

▲身廊と袖廊の交差部

▲ステンドグラスは控えめに

▲回廊はゴシック様式

▲回廊はゴシック様式

▲アルピルスバッハからライヒェナウに向かう途中の菜の花畑
  前日黒い森のバット・ワイルドバットに宿泊したので、次に宿泊するボーデン湖に面したライヒェナウ修道院へ行く途中にある。(ミシュラン地図545U−9)。294号線を南下して踏み切りを右折したところにある。当初鉄道沿いの教会に入ったが、どうも様子がおかしかったので奥のほうに入っていくと、大きなナルテックス(前室)のある修道院があった。
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