訪問した街と聖堂 モアサックのサン・ピエール大修道院
特徴 ロマネスク様式の完成。ゴシックの兆し
 ここの彫刻はロマネスク様式のものとして最も有名ではないだろうか。像は決められた枠の中で自由に表現されている。また像が浮き出し始めていて、さらにはみ出してくる像の魁ともいえる。ティンパヌムに初めてキリストが現れたのが、このモワサックだと言われ、それは約1100年ころとのこと。

 荘厳のキリストが描かれたタンパンには、ヨハネの黙示録に記されたキリストの再臨が描かれている。四人の福音書記者を象徴するとされている黙示録の有翼の四つの生き物に囲まれてキリストが中央に座し、祝福の右手を挙げている。四つの生き物とは、人もしくは天使(マタイ)、獅子(マルコ)、雄牛(ルカ)、鷲(ヨハネ)である。その周りを、三段にわたって24人のユダヤの長老が取り巻いてキリストを見上げている。
 

 中央柱には二匹づつ交差した6匹の獅子が彫られていて、その左右にパウロとエレミヤがいる。いわゆる『枠の法則』の典型的な例。
エレミヤ像は深い瞑想した姿が滑らかな線で刻まれていて、「舞踏のリズム」といわれ、これまたロマネスク彫刻の傑作。なお、近くのスーイヤックにもほとんど同じ像がある。
パウロ像は優しそうなまなざしで巡礼者の話をじっと聞いているかのようだ。透徹した知性と無限の優しさが現れている。

▲ロマネスク彫刻の傑作

▲荘厳のキリスト
威厳に満ちたキリストを24人の長老たちが見詰めている。すべての像が巧みに表情が表されロマネスクの完成。

▲思い沈むエレミヤ          ▲6匹獅子  ▲賢者パウロ

扶壁の彫刻として色欲を記したが裸でやせた女性ががまに咬まれて、蛇に巻き疲れている。このほか吝嗇、金持ちの倉庫、東方の三博士、受胎告知、マリアのエリザベート訪問などである。      
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