訪問した街と聖堂 パリーA:サント・シャペル礼拝堂
特徴 宝石箱といわれるゴシック建築の極致
 「光への願望の頂点は、パリ市内にあるサント・シャペル礼拝堂において達せられた。シテ島の裁判所に接して建つこの礼拝堂は、聖ルイ王が,イスタンブールから持ち帰ったキリストの茨の冠と、真の十字架の断片を祭るために建てられた、………
 特に注目されるのは上院である。狭い螺旋階段を上り、上院にたどり着くや、神秘的な光の波がわれわれを襲ってくる。振動するような光の洪水である15ある壁面は全部窓に開放され、まさに壁面が光の壁になっている。これほど直接的に、神の属性である光を,これほど独創的に表現した芸術があるであろうか。神を信じない人々に、これほどまでにキリストを介在した運命共同体というような意識を与える芸術があるであろうか。それを演じているのは、ステンドグラスである。ステンドグラスは、物質的な光を、多彩色の色ガラスを通すことにより、神秘的な光に変える。………深い赤と青の対比になり、その両者が交じり合い、紫に近い雰囲気を作っている。……主題の識別は必要でない。必要なのは神秘的な光との直接的な体験である。その体験を通じて、霊感に打たれたかのような衝撃がわれわれを襲ってくる。」 
馬杉宗夫「大聖堂のコスモロジー」講談社現代新書より

▲サント・シャペル礼拝堂上院 光の洪水
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