訪問した街と聖堂 | プロバンスの三姉妹のシルバカーヌ修道院 | ||||
特徴 | 三姉妹の末娘 資料:近代の始まりは中世の修道院にあり |
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アヴィニヨン近くを流れるデュランス川のかたわらにシルヴァカーヌ修道院がある。それは葦のことをラテン語でSylva Canaに由来しているから。中世に栄えたこの修道院もご多分に漏れず荒廃し、農場の建物として使用されていた。 中に入るといきなり崩壊しかかった部屋があり胸が痛くなる。聖堂はやや小ぶりであるがすっきりしている。ここで詩篇や聖歌を歌えば残響効果も良いのでは。 修道院の成し遂げた重要な仕事として、先ずは体系的に自然との付き合いをしながら、神について思考している中で神を自然から抽出し、それを超越者として格上げしただけでなく、人間も自然も、ともにこの絶対者から作り出されたと言う逆転の思考体系を作り上げた。つまり神を超越させることが、人間を自然から分離させ、ついには人間による自然の機械論的認識と操作可能性の開拓へと向かわせることになったというのだ。人間は神と自然の中間の位置に置かれることになった。神・人間・自然と言う階層的・目的論的秩序の調和を保持することが、中世における知的努力の最終目的であった、と伊藤氏は「文明における科学」で述べている。この辺については非常に重要なのであるがしっかりした資料がないので今後調査したい。磯崎新氏は「中世の光と石」の中でニコライ・ベルジャエフが「歴史の意味」白水社で神の抽出について記されていると述べている。 次に労働の価値についてであるが、シトー派は祈りとともに労働を重視した。冬期は4時間、夏期は5〜6時間を肉体労働に振り向けた。多分彼らが組織的に働くことによって三圃制農業の発見、水車の利用、鍛冶の改良、馬による重量鍬の発見など、のような技術的知識が得られたのではないか、と思う。この辺についても確たる資料がなく今後調査をする。 参考資料 堀米庸三編「西欧精神の探求」《革新の十二世紀》。J・ギャンベル・坂本訳 「中世の産業革命」岩波書店 |
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▲シルヴァカンヌ修道院 西正面、三姉妹で唯一中央入り口 があり、凱旋門式のティンパヌムが出現する |
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▲講堂 |
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▲身廊と側廊を隔てる壁は装飾はなくシャープな感じ、しか し石の色のためか暖かい感じ |
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▲回廊の模様はシンプルなもの |
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▲三連のアーチの回廊 柱頭の模様も控えめ |
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▲チャプター |
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