福智院(高野山)  現代(重森三玲 昭和49)
和歌山県伊都郡高野町 電話:0736-56-2021
  前庭は希望すれば観賞可能、但し蓬莱遊仙庭、登仙庭は宿泊者のみ
当院には重森が最晩年に作庭した三つの庭がある。
@愛染庭(山門は行ったところの、前庭)
古くから福徳円満所願成就の霊仏として信仰を集める福智院の本尊である愛染明王の名を冠した庭は、質朴な趣にあふれている。
A
登仙庭
登龍門の故事で名高い龍門瀑(龍門の滝)を模した庭。背景に見えるなだらかな遠山には、蓬莱連山の石組がなされている。前景の池泉には、鶴島亀島と日本古庭園の伝統的手法をモダンな感覚で表現している。
B蓬莱遊仙庭
古代中国の伝説「遥か南海にあって、不老不死の仙人が棲む理想郷、蓬莱島」を十五個の石組みで表現した枯山水蓬莱式の庭園。

▲苔の築山は高野山の雲海を表しているのではないか。本堂前の雄大な築山と蓬莱連山は圧巻だ。

▲庫裡から見た苔地の築山と大刈込の築山。そこには前代未聞と言える巨石群が林立している。

▲本堂前の光景は高野山の雲海の光景とも見える

築山にある三尊石は緊張を醸し出す傾斜した石がある。この庭の後の松尾大社のそれの魁。

▲大刈込と巨石群の共演

▲敷石は山門よりまっすぐ玄関に向かうのでなく、鋭角に左に向かっている。片身替りの意匠。

▲御影石の敷石はインカ式敷石と桂離宮の真の飛び石、外腰掛前の延段の混合型

▲校倉作り風の建物は先代のご住職の設計

▲龍門瀑

▲龍門瀑前には蹲踞がある。この蹲踞は重森特有の富士山型の石が立っている。

▲池の護岸は古典庭園のような護岸石組ではなく、デザイン化された曲線よりなっている。
 護岸の石は青色を中心とした鮮やかな色どりである。池中には鶴島(上記写真)、亀島がある。

▲池の護岸と軒下敷石

▲大刈込の中を遣水状に流れてきた水が滝から落ちている。

▲15石より成る七五三の庭。

▲上から見た庭はパリの美術館のようだ。日本庭園は世界的なデザインに昇華された。
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