玉泉寺 滋賀県長浜市三川町945
 壮絶とも言える激しい石組みの庭が2つある。
一つは入って左側の涸れ池の庭であるが、鋭い石組みが空中で刃を切り結んでいる。また枯滝の石組みは極度な傾きをしているが、護岸の石組みと互いに寄り合っていて、均衡が図られている。

護岸手前の小さいながら厳しい稜線の石は激しく前方に傾いている。一方対岸の石は手前の石と切り結ぶかのように手前に傾けてある。なお、右手前にある角柱の石は両界石の一種であろう。

対岸の護岸の石も稜線の鋭い石だ

庭園を左側に移動すると、護岸の石と築山上の石組みが激しく反りあっている。小さな庭園であるが石の選択と石組みの妙で、かくも緊張感のある造形になる

枯滝部拡大
枯滝から流れ落ちる水の流れは白い泡を立てながら落ちて行く。

雪の玉泉院は荒々しい石組みがよく似合う風景だ
 二つ目の庭は鐘楼横にある池泉庭園は一組の石組みのみであるが、見る角度によって造形を変化させる巧妙な手法だ。このような特異な手法は湖北地方特有な香取流の手法で、青岸寺に始まり、大通寺を経て玉泉寺への系譜である。

三尊様式の枯滝状の石組と護岸にある石組が互いに反りあっている、激しい造形である。
 枯滝の石組みは低い築山の立石を大きく見せるために、視点を右に移動させると、池中から立っている立石と重なり合って、一本の巨石のように見えるような石組みである。
 この手法は福田寺、大通寺(学問所庭園)にも見られ、香取流の造形である。

視点を右にずらすと一本の巨石になるが、護岸石組みとの拮抗関係は失われる
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