旧片山家(渡辺家)  重森三玲昭和32年 枯山水背後の塀に水墨画
  重森は高さ3m、長さ80mの壁庭困惑した。書院から枯山水庭園を見ると壁が覆いかぶさってくる感じを受ける。そこで考えついたのは立石の背後の壁に水墨画を描くことである。庭の石組と調和するような水墨画は景観に奥行きを与えるユニークな方法である。
 次の特徴は二重洲浜である。軒下と玄関からの敷き石には丹波鞍馬石の洲浜があり、さらにその先には思い切りデフォルメされた苔地の洲浜がある。

 庭園は片山氏が住宅を建てると同時に昭和32年に作られた。氏は岸和田市の教育行政に携わっていたが、重森が昭和28年にかの岸和田城庭園を作るにあたっては春木の片山宅に一か月ほど宿泊していたそうである。それが縁で4年後に片山氏庭園を作った。そのご、氏と懇意である渡辺氏に邸宅と庭園を譲ったが、庭園はよく管理するように伝えたそうである。


書院から見た景色

逆光であるが綾線の鋭い石が美しい

横から見ても立石の背後には水墨画が見える

丹波鞍馬石の洲浜模様

枯山水俯瞰写真(渡辺氏提供)

書院から俯瞰して見た水墨画(渡辺氏提供)

書院に座して見た水墨画は庭石と同調して描かれている

書院側の二重洲浜が美しい。
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