百瀬家  池泉観賞式  江戸時代
長野県松本市平田西一丁目  電話:0263-57-2722  事前連絡し、先方の都合にあわせる
  不思議な庭である。信州の山奥でこれほど見事な感覚が開花したのはなぜだろうか。庭は伝統的な対象でありながら、内容は現代アートに通じるモダンさがある。この庭が出来た背景は
@信州の庭園に関する高い認識があった(文化的基盤)
A施主の庭園に対する高い認識と新しいものに対するチャレンジ精神があった
B作者は天才肌の人間であるが、庭園に対する作庭上の知識はあった。しかし、辺境であるがゆえに、伝統に拘束されずに革新的な自由な作庭が可能であった。
C作者の感覚に合った石材(柱状節理)が入手できた。


 庭は横長い築山と細長い池がある。築山には全山くまなく白くて稜角の強い石で造形されている。
部分ごとに見ても、まとまった造形であるが、より広く見ても破たんなく連続的に造形が繋がっている。
コンパクトであればこそ、密度の濃い庭である。全国的に見ても大変造形力の強い庭だ。
 左右の滝は類型化されない自由な発想に基づいて作られている。左側の滝は龍門瀑風の滝であるが、右滝添え石は右手前方向に傾いていて、見るものに強い刺激を与える。
 一方右側の滝は自由で軽快な雰囲気だ。特に右滝添え石は鋭く割れ目があり、鶴の嘴にも見える、また築山頂部の立石は一石のみが異常に高く滝の造形を一層引き立てている。
 鑑賞ポイントは庭を書院正面から見ても、庭に入って築山の左右から見ても、緻密に組まれた造形が充満している。

▲全景  滝が二つあり、出島には二重護岸がひしめき、背後には蓬莱連山が聳えている

▲庭園左側全景を斜めに見る  やや右側の傾いた滝添え石、鯉魚石

▲白くシャープな石を手際よく配置。作者は天才的な冴えを示す。信州の田舎でなぜ!

左下に見える石は鯉魚石の一部で、龍門瀑の様式だ。

右側の滝
 
左の滝は端正に                      右の滝は自由に動いている
 
左側の滝を築山頂部の立石をいれて           築山頂部の立石を斜め左からの景

築山の左側より右側(西)を望む

築山の右側から左側を望む

築山頂部の蓬莱連山(手前にある富士山型の石、中央の二石、奥の三尊石)

左滝国の背後の石組みは築山頂部の蓬莱連山に向いている
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