楯築神社  重森三玲の原点
楯築神社  岡山県倉敷市矢部向山
  倉敷市矢部向山の山頂にあるこの岩組は中心に立石があり、その廻りを二重に円形状の環状列石が取り巻いている。このストーンサークル的配石と中心にある祠の中に呪術的な彫刻物からして古墳と思われる。私の考古学の師である原田大六先生によると、祠の中の石を桃果の陰形と縦縞模様の帯とでがんじがらめに巻き付けられている事からして遺骸の鬼を呪縛した表現である、とのこと。なお黄泉物語では桃果を鬼に投げつけて鬼がひるんでいる間に逃げている。

 この不思議な空間を私は以前は考古学上の見地から考えていたが、今回の訪問で認識を新たにした。中央の巨石を背景にした祠を中心として5個の巨石が環状に配列している。石の間隔は大きいのであるが、祠を中心として有機的に繋がっている事が感ぜられ、造園で言う「石を組む」に相当する。その空間を繋ぐことが出来るのは巨石であるからではなかろうか。しかも、この巨石は扁平であるが故に方向性が分かり、石が有機的に関連することが実感できる。

  重森が何時頃からこの楯築神社と出合ったかは分からないが、神道に傾倒していた重森はかなり早くから意識していたのではなかろうか。

 この遺跡から連想される重森の庭は志度寺(高松市)、豊国神社(大阪城)、松尾大社(京都市)などスケールの大きな庭園には直接的な影響を与えていると思う。上記のごとく大きな庭園でなくても石柱が林立する庭は全てが間接的に影響を受けていると考える。



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