豊国神社 重森・枯山水の円熟の庭 昭和47年76歳 |
大阪市中央区大阪城2−1 電話:06-6941-0229 一般公開はしていないが、特別に興味のある方は拝観可能 |
庭園 重森晩年の傑作。以下のその内容を列記する 1、庭園にはテーマがあると意味が生ずるが、本庭は四つものテーマに基づいている @大阪城内にある神社なので豊公の千成瓢箪に因んだデザインにしている Aこの地は石山本願寺のあったところなので、石山に因んで蓬莱山を巨石により作った B大阪の街は大阪港、尼崎港、堺港も含めて海洋によって開けているので、海洋の表現をしている C中央にある辺りを睥睨しているかのような尖った石は太閤秀吉を表しているだろうか 2、配石の秘密 @七五三(後ろから七五三と配石)の庭であるが、三列になっているため重層性があり、奥行きが感じられる。特に手前の石が大きく、中央にあるため、意表を衝かれるが遠近感が出る。 A中央のシンボルの石に向かっている石は、直立する石柱群の中にあって、意図的に均衡を破って会話している、かのようだ。当庭の秘密は指向性強いこの石にある。 Bこの庭に緊張を与えている隠された秘密は、前列から後列の中央の石が一直線に結ばれていることである。この隠されたデザインが緊張を生む。 C巨石群は庭の左右と背後を中心としている。中央部は空白としている。この手法は鑑賞者の意識が自然に余白部に集中する効果があるのだろうか。この余白こそブラックホールのように鑑賞者の意識を吸い込む。 3、白壁に閉ざされた空間は既存の建物から隔離された世界であり、重森はここに純粋庭園を作ることができた。この庭園は観賞されるだけの庭であるのは、観賞の場であるテラスが設けられていることである。 文化財の公開性について 当庭は桜の咲くころと、連休に公開される。テラスが日本一のカフェーになり、二胡などの演奏もされる。宮司さんのお話では常時解放はできない(社務所とは離れているため)が、年に数回はイベントを催し、皆さんに楽しみながら文化財を観賞していただきたいそうである。文化財は蔵の中にあっても文化財ではなく、可能な限り公開していただきたい。まさに、ノブレス・オブリッジ |
▲舞台右端からの景 |
▲瓢箪のデザインが施された舞台、三石、五石、七石の全景 |
▲手前の巨石が遠近感と重層性を生む(テラス右側より) |
▲中央には余白があり巨石が圧迫感を与えない(テラス左側から) |
▲当庭の立役者 |
▲林立する石柱群の緊張と弛緩 |
▲千成瓢箪づくし |
▲聳える三尊石 |
▲鑑賞者に向かって、一直線な配列。また、この庭には15石があるが、舞台から見るとどこから見ても14石しか見えない。以上の隠された秘密の発見は同行した井上氏(井上家庭園)である。 |
▲桜の頃にはこの舞台で演奏会が模様される。開かれた文化財 |
▲テラスと庭園が一体となり新たな庭園 |
▲庭園だけが独立したユニークな構成。 |
▲扉まで豊国とデザイン化されている |
▲大正琴の概念を変える演奏 ▲コーヒーを飲みながらの鑑賞 |
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