浅野家の庭園  山畔を利用した室町時代様式の絢爛豪華な庭
京都市北区衣笠鏡石町  非公開
浅野家はホームページhttp://www.shokuraku.jpによると
織楽浅野は「織を楽しむ」をコンセプトに、物創りをする京都西陣の織屋です。
帯だけでなく、きもの、テキスタイルとしての可能性を求めています。
祖父が織屋を始めて八十五年。その母屋から独立し、創業二十四年になります。
場所は金閣寺を北へ 本阿弥光悦が芸術村を築いた場所の近くでもあります。
理想のもの創りのシステムを目指し、資料の分類整理を徹底し、
織楽浅野には世界中の美術書や織物、さまざまな和紙 筆 墨 箸 ポスターなどがコレクションされています。
庭園
 浅野家は代々美術品などあらゆることに情熱を注ぎ込んできた。特に重森と出会った先々代の浅野氏は物凄いエネルギーを巨石、名石の収集につぎ込んだ。重森は一般的には自分のフィーリングにマッチした石で創作をする。しかし浅野家の場合、施主の好みが強烈である。浅野氏と重森は壮絶な火花を散らしたのに違いない。その中から渾身の力作が生まれた。
この庭園の重要な要素を抽出し歴史的な観点から考察する(以下の項目をクリックしてください)
@龍門瀑:当庭園は明らかに龍門瀑である(特に金閣寺の石組みに似ている)
A碧巌石:向かって左側の滝添え石は金閣寺のそれを思わせる
B坐禅石:向かって左側の護岸石はこの石のみが上面が水平であり、坐禅石風である。
       ただし、本来の坐禅石は独立したもっと高さのある石である。
C三尊石:重森が好んだ三尊石には名石が用いられている

  上記@ABは禅の庭のエッセンスである。鎌倉時代から室町時代にかけて作られていた。重森は施主と火花を散らす中で、本格的な造園を心に秘めたに違いない。幸い当家は山畔の地にある。彼は決意した金閣寺、銀閣寺の禅の要素のみを抽出した庭にしようと。そもそも、上記の@龍門瀑を特筆したのは重森である。蘭渓道隆の研究から発している。日本庭園が頂点に達したこの時代の庭を研究した。その中から質実剛健な宗教的要素を学んだのではなかろうか。私の推測では、重森は著作の中では、上記A碧巌石、B坐禅石については特別に意識していた様子はないと考える。しかし現物庭園の実測に裏打ちされた知識から形態的にそのような石を選定し、石組みを行ったと考える。
 C三尊石は苔寺や金閣寺の護岸に三尊様式で組まれているのが有名であるが、独立して三尊が悠然と聳えているのは山梨県の向嶽寺ではなかろうか。当家も山畔の上部に聳えていて向嶽寺を思い起こさせる。

 滝の右側の護岸は青石のオンパレードだ、約20石くらいあろうか。普通ならここの部分だけでも驚くほど豪華な庭といえる。安土桃山時代風といえるだろうか。
 山畔の中腹には龍門瀑に落ちた水が流れるような流水路がある。その護岸は絢爛豪華で二重、三重護岸になっていて見るものを戸惑わせるくらい多くの石が使われている。しかしその水路は突然に中断されている。私の推測では中腹の水路から滝を組み下部の池に水を落とす計画があったのではないかと、推測する。なぜか工事が中断したような気がしてならない。

 いずれにしても、このような豪快無比な重森の傑作を報告させていただくことに、幸せを感じる次第である。

▲龍門瀑周辺全景

▲金閣寺・銀閣寺を思わせる龍門瀑
 (中央の横長の石:高さ80cm・横210cm、滝壷の大きさ:奥行き450cm×横幅470cm)

▲龍門瀑護岸
  (下段右の一部見える石:横185cm・高さ105cm、下段の鯉魚石の右:高さ92cm、・横145cm)

▲龍門瀑中心部
(鯉魚石:高さ90cm最大幅60cm、水落石:196cm・幅115cm・厚さ60cm、左側碧巌石:高さ197cm・最大幅120cm、水落石右側:高さ150cm・幅120cm、その右:高さ126cm・幅100cm))

▲龍門瀑に挑む鯉魚石(水落石手前の横石:高さ80cm・横180cm・奥行き70cm)

▲護岸部から滝を望む

▲滝右側の豪華な護岸
  (左端:高さ140cm・幅95cm、右下:高さ100cm・幅90cm、右上白石高さ150cm・幅100cm、右下:高さ95cm・幅70cm、右端:高さ130cm・幅110cm)

▲上記右側護岸:左端奥:高さ135cm・幅80cm、右:高さ110cm・幅100cm、右横:高さ120cm・幅90cm、中央下:高さ135cm・最大幅150cm、右上:高さ170cm・幅80cm、右端:高さ170cm・幅95cm)

▲山畔には幾重もの石組みが

▲水路の護岸(右端:高さ90cm・幅50cm、左隣:高さ70cm・幅130cm)

▲巨大な護岸石(高さ120cm・幅220cm)

▲戦国時代を思わせる分厚い橋(長さ190cm・幅60cm・厚さ23cm)

▲三尊石
(中央:高さ22cm・最大幅90cm・厚さ60cm、右側:高さ120cm・幅70cm、左:高さ145cm・厚さ100cm)

▲三尊石:左側よりの景                  ▲三尊石:右側からの                   

▲水路の護岸の上にさらに石組みがある

▲頂上への園路脇にある石組み
 (左側:高さ120cm・幅100cm、中央:高さ100cm・幅180cm、右:高さ100cm・幅55cm)

▲護岸上(右側:高さ120cm・幅90cm、中央:高さ80cm・幅125cm、左:高さ120cm・幅60cm)

▲右端:高さ120cm・幅120cm、左2石は上記写真   ▲龍門瀑背後の立石:高さ180cm・幅80cm)

▲山頂部の伏せ石:縦130cm×横160cm       ▲山頂部の腰掛石:高さ40cm・幅50cm長さ175cm

▲腰掛石から比叡山を望む
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